ひょっとして、歯を触らせていませんか?

ひょっとして、歯を触らせていませんか?

本来、上下の歯の接触は、食事、会話、飲み込むときなどに瞬間的に起こるだけです。
上下の歯の接触時間は健康な方で1日平均17.5分しかありません。
しかし、寝ているときの歯ぎしりや日中の食いしばりによって、1日10時間以上も上下の歯が接触している方がいらっしゃいます。
そして、その力は1平方センチメートルあたり74kgにも達します。
以下に噛み合わせの力によって起こり得る障害を挙げてみます。

1.歯の摩耗
2.知覚過敏
3.歯が欠ける。歯が折れる。
4.歯の位置がずれてくる。
5.歯周病が悪化する
6.歯の修復物がはずれる。壊れる。
7.噛む筋肉や肩がこる
8.顎関節症になる
9.取り外し式の入れ歯が壊れる。また、入れ歯によって粘膜が傷つく
10.口内炎ができる
11.頬の粘膜や舌を噛んでしまう
12.神経を除去したはずの歯に違和感がのこる
13.顎の骨が隆起してくる
14.奥歯の歯の高さが低くなる
15.奥歯にモノがはさまりやすい
16.口を大きく開けにくい

 

あなたは歯ぎしりをしていませんか?

歯ぎしりは寝ている間に起こりますから、このように質問されても答えられないかもしれません。
しかし、調査によると成人の約8割で就寝中の歯ぎしりが認められました。
問題は歯ぎしりしている時間なのです。少ないときは数分のこともあれば実に5時間以上に及ぶこともあります。
また、個人差もあります。同じヒトでも日によって歯ぎしりをする時間が長い日もあれば短い日もあります。

あなたは食いしばりをしていませんか?
机に向かって仕事をしているとき、または集中して何かをしているとき、上下の歯は接触していますか。
(取り外しできる入れ歯をお使いの方は入れ歯を入れた状態で考えて下さい。) 接触していると思う方は、どのようなとき接触していますか。
1.食事や会話するとき以外すべて
2.集中して何かをするとき
3.疲れているとき
4.イライラするとき

1~4に当てはまれば食いしばり癖があるかもしれません。上下の歯が接触していることを自覚できますか。
上下の歯が接触することによって顎の筋肉は自動的に活動をはじめてしまいます。
そして、無意識に徐々にその力は強くなっていきます。
これが食いしばりです。

 

どうしたら、食いしばりを防ぐことができるでしょうか。

●貼り紙法:小さなメモ用紙に「歯をはなしてリラックス」と書いて目に付く場所に貼り付けておきます。

日常生活でメモを見たとき、もし上下の歯が接触していたら、息を吐き出しながら意識的に歯をはなしましょう。
同時に舌の力も抜くようにしましょう。
●マウスピース:寝ているときの歯ぎしりや無意識の食いしばりが強い場合は、歯並びを模型に再現して、専用のマウスピースをつくります。
マウスピースを付けることによって過剰な噛む筋肉の活動を抑制します。
●セルフコントロール:「唇を閉じて、上下の歯をはなして、顔の力は抜く。」このおまじないを普段から実践していただきます。
食事のとき以外は徹底的に歯が接触しないように注意して下さい。
日中気を付けていることによって、睡眠中の歯ぎしりも少なくなってくる可能性があります。
また、必要以上に強くなってしまった筋力を低下させる効果があります。
●睡眠中の姿勢:顎の痛みがある方は、痛みのある側が下になって寝ていないかチェックしてみて下さい。
うつ伏せ寝や、いつも同じ側を下にして寝る習慣は改善しましょう。
●噛みかた、食事の際の注意:食いしばりや歯ぎしりがある方は、噛む筋力が必要以上に強くなっています。
固いものや、ガムなどはその筋力をさらに強めてしまう可能性があるので避けましょう。
よく噛むことは健康に大切なことですが、強く噛みしめることは障害を引き起こします。
具体的には、10kgくらいの力で十分です。目安として、奥歯でご自分の指を噛んでみて痛くない程度です。
食事は軽い力で、回数を多く(約30回)左右均等に噛み、時間をかけてしましょう。
キーワードは「上品に丁寧に」